2024年9月9日
【手芸道具あれこれ No.6 手芸用接着剤】「縫う」と「貼る」は、どう違うの?「裁ほう上手の正しい使い方」を知りたい!
- 手芸道具あれこれ
「手芸道具あれこれ」第6回は、《 手芸用接着剤 》です。
手芸道具の世界に10年くらい前から新しいツールが加わりました。それが、布用接着剤です。今回はお裁縫箱の新たな必需品になってきた接着剤についてご紹介します。
《もくじ》 |
手芸道具あれこれ No.6 手芸用接着剤
①手芸用接着剤
手芸用接着剤は、色々なメーカーからさまざまな形状・特徴のものが販売されています。ざっくり大まかに分けると、布用の接着剤と、オールマイティに使える多目的接着剤の2種類です。
多目的接着剤はその名の通り、ビーズ・布・革・金属・タイル・プラスチックなど「多目的」に使えます。もっともポピュラーなコニシの「ボンド」も多目的接着剤ですですね。この接着剤は、塗り終わってから一定の時間放置し、しっかり乾燥させて接着させるものです。
一方、手芸業界の新興勢力として10数年前に新星のごとく登場したのが布用接着剤たちです。(写真左)
②布用接着剤
布用接着剤は多目的接着剤とは大きく異なる特徴があります。
それは、針と糸がなくても布小物を作ることができるという点です。また、「数時間乾かして接着する」という多目的接着剤と異なり、アイロンをかけることでスピーディーに強度のある接着が可能になりました。さらに、布用接着剤で制作した物は、洗濯やドライクリーニングが可能という点。
布用接着剤に使える「布」は、綿・ウール・フェルト・ポリエステル・麻などで、特に自然素材の生地の使用が推奨されています。熱に弱いナイロン・ビニール・ポリプロピレンはアイロンで溶けてしまうので使えません。また、薄手の生地は接着剤が染み出すなどしてシミになることがあるので避けたほうがよいでしょう。
★それぞれのメーカーの使用上の注意点などをよく読んでからご使用ください。
用途としてはバッグやポーチなど布小物づくりや、アップリケ、ズボンやスカートの裾上げやつぎあてなどに向いています。
それでは、布用接着剤の使い方を見てみましょう。2枚の生地を、縫わずに接着します。
ここで使うのは、クロバーの布用強力ボンド「貼り仕事」。
接着剤を使うときは、作業スペースが汚れないように下敷きなどを用意しましょう。私は普段、クリアフォルダを1枚用意して、接着剤の作業専用下敷きにしています。
縫いたい位置に、アイロンをかけます。従来であれば縫製している位置です。(印つけペンなどで印をつけておいてもOK)
縫い代部分に布用接着剤を塗ります。たくさん付けすぎると生地の表側に接着剤が染み出してしまうことがあるので、ほどよい分量を均一に伸ばすことがポイントです。
塗り終わったら、縫い代同士を合わせて、当て布をしてアイロン(中温)で圧着します。
この「貼り仕事」の特徴は、ノズルの先端に小さなヘラがついていて、接着剤を出したあと、そのヘラでのばすことができる点。ワンタッチで作業が済むので大変便利です。
生地を広げると、縫製されたもののようにしっかり接着しています。
裏側はこのようになっています。
縫い代はきれいに接着されていますが、ひらひらと浮き上がるので、落ち着かせたい場合は縫い代も接着しましょう。
次はコニシの「裁ほう上手」を使ってみます。貼り合わせたい場所に接着剤を塗ります。
専用のヘラでのばします。
ヘラは作業中はこのように置いておかなければいけません。
余談ですが、私は、クロバーの「貼り仕事」はヘラのサイズが小さいので細かい作業の時に使用し、広いスペースを接着したいときはコニシの「裁ほう上手」を使っています。「裁ほう上手」は付属のヘラがついています。このヘラは両端が使用できる形になっていて、どちらも先端がシャープなので使いやすいです。
アイロンをかけて、きれいに接着しました。
「裁ほう上手」にはもう一つ、スティックタイプがあります。
こちらはスティックのりのように使用できる固形タイプです。ヘラを使わずスピーディーに塗り貼りができるので、液状タイプよりもさらに簡便です。デメリットをあげるとすれば、すぐに使い切ってしまうので買い替えスピードが早い点(笑)。私はこの固形タイプをかなり愛用しているので常に2~3本、裁縫箱に入っています。
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次に、布用接着剤で「貼る」場合と、ミシンや手縫いで「縫う」場合の違いを見てみましょう。
先ほどと同じ生地を、今度は縫い合わせてみました。
縫製した縫い代は、アイロンで開くことができます。
「貼る」と「縫う」の大きな違いは、作業や道具の差というよりは、縫い代の処理の違いではないかと私は思っています。
接着剤で「貼る」場合は、縫い代全体を貼り合わせることで「縫う」に置き換えています。一方、「縫う」という行為は線をつなぎあわせる行為なので、縫い代を割ることができます。
表側から比べてみましょう。写真(上)は接着剤で貼り合わせ、縫い代を片方に倒したもの。写真(下)は縫製して縫い代を割った(開いた)もの。
縫製したほうが生地がフラットになっていてスッキリしています。
★ ★ ★ ★ ★
それでは、「貼る」と「縫う」どっちがいいのでしょうか?
接着剤で仕上げるメリットを別の角度からみると、私は縫い代を貼ることで生地の端の始末が不要になる点があると思います。
生地はカットすると糸端がほつれてきます。通常、生地端にジグザグミシンをかけたり、ピンキングハサミでカットしたり、ロックミシンをかけるなどして糸がほつれないように下処理をしますが…
パーツを普通にミシンなどで縫製したあと、縫い代全体に布用接着剤を塗り、アイロンで接着すると、生地端がほつれる心配がなくなります。
つまり、布用接着剤だけ、またはミシンや手縫いだけで仕上げるのではなく、「貼る」と「縫う」の良いとこどりをすることで、仕上がりのバリエーションを以前より増やすことができます。
そんなわけで裁縫箱には、針と糸が必要で、布用接着剤もあると嬉しい、という状態がここ10年の私のスタンダードになりました。
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④おまけ
最後に、布用接着剤の便利な使い方をご紹介します。
適当なサイズの生地を用意して…
両端と下側を1cm折って、接着剤をつけて貼ります。
上側は1cmで2回折り、それぞれ貼ります。
最後に両端と下側に布用接着剤を塗り…
ポケットを付けたい布にアイロンで接着。
どこでもポケットの完成です。
布用接着剤のおかげで、既製品のバッグの内側や子ども用の服にポケットをつけることが簡単にできるようになりました。
「裁ほう上手(裁縫上手)」や「貼り仕事」など布用接着剤は、アイロンで強力接着したあとは、洗濯が可能です。洋服の裾上、ワッペンをつけるなど、色々な場面で大活躍。
皆さんも布用接着剤を使ってソーイングやクラフトを楽しんでみてくださいね。
2024年9月9日 ユキンコ
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