2024年10月21日
【手芸道具あれこれ No.10 印つけ その1 】生地に印付けする道具って何があるの。チャコペン、シャープペン、インク、ヘラ……種類多すぎ(笑)?
- 手芸道具あれこれ
皆さま、こんにちは。手づくりクリエイターのユキンコです。
「手芸道具あれこれ」第10回は、手芸道具の中でもバリエーションがとても多い、《 印付け 》についてです。
印付けは、鉛筆タイプ、固形のチョークや粉末パウダータイプ、シャープペンシル型、液体のペン類、ルレットやヘラなど圧力で印をつけるものなど、とにかく多彩です。これらのすべても目的は「生地に印をつけること」に尽きます。そのためにだけにこんなに道具が存在するって面白いですね。
種類が多いので、印つけは2回に分けてご紹介します。
手芸道具あれこれ No.10 印つけ その1
《もくじ》 ▲クリックすると①~⑦のところに飛べます。 |
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・①鉛筆タイプのチャコペンシル
手芸になじみのない方でも、小学校の家庭科の授業で一度は手にされたことがあるかもしれません。鉛筆タイプのチャコペンシル です。
はじめて手にしたとき、そもそも「チャコって何なのよ」と思いませんでしたか(笑)? 日本で使われている「チャコペン」の「チャコ」は、英語のチョーク( chalk )から発音がなまってうまれた言葉だと言われています。日本でミシンがマシーン(machine)という言葉から呼称されるようになったことと同じですね。
普通の鉛筆の芯の部分は黒鉛(こくえん)と粘土で作られていますが、チャコペンシルが何でできているのかを調べてみると、滑石(かっせき…チョーク質のもの)とカオリンという粘土質の鉱石の粉を混ぜて固めたもののようです。やはりチョークのペンなので、チョークペン…チョクペン…チャコペン、になったのでしょうかね。
鉛筆と同様に使うので、芯がちびてくると鉛筆削りで削ります。ただ、普通の鉛筆よりも芯が柔らかいので、削りすぎるとすぐ折れます。先端を削りすぎないように、少し太めに残したほうがよいでしょう。
ペンシルタイプのチャコペンは、水色・ピンク・白・黄色のものが市販では入手しやすいです。4本そろえれば大半の生地の色に印をつけられますが、2本に絞るなら水色とピンク、または白と水色、などでもよいと思います。
写真(上)のように、生地の色によって、みやすい色が異なるので、使い分けるとよいですね。
市販のチャコペンシルにはキャップ付きで売られているものがあります。
キャップの端にはブラシがついていて、印をつけたところをブラシでこすると印を消せます。これはチャコペンシルの粉をブラシで拡散させて消すものですが、粉には生地に色を定着させるための粘質のものが含まれているので完璧に印がとれない場合は、洗濯をしたり、生地を水に浸して印のところを手でもみ洗いすれば落とせます。
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・②三角チャコ
つづいて、固形タイプのチャコです。
昭和世代のお裁縫箱にはチャコペンシルよりもこの固形のチャコのほうが一般的だったかもしれません。三角形のものや、角が丸みがかった長方形のものが一般的です。こちらのほうがより「チョーク」っぽいですね。粉末を固形にしてあるものですが、布の上をなぞると滑らかにすりへって粉を定着させていくので、しっかりと線が描けます。
チャコペンシルだと一度に線を引く距離は短いですが、この固形タイプのチャコは50cmとか1mといった長い距離を定規を当てて一気に印をつけられるので洋裁には今も必須の道具だと思います。固形のチャコも水色・ピンク・白・黄色のものが市販では入手しやすいです。
ペンシルタイプよりもスピーディーに印をつけられる一方、やや粉っぽさが強いです。手でちょっとさわると粉が広がってしまいますが、それでもこのスピーディーでしっかりとした線引きできるメリットは大きいです。
スーツやオーダードレスなどを作られるテーラー職人さんたちは固形チャコを愛用されている方が多いですね。
固形チャコは洗濯で簡単に落ちます。
この固形チャコの注意点は、落とすと割れます。私が小学生の頃…今から約40年くらい前の家庭科のお裁縫箱に入っていた固形チャコは、割れて小さなパーツになって入っていました(笑)。
>③パウダータイプのチャコ
次に、固形チャコの派生道具をご紹介します。
それが、パウダータイプのチャコです。固形のチャコの名残りを残した三角形ながら…
粉末が先端から粉になって出てくるという進化を遂げています(笑)。
ギザギザの車輪のような先端を生地の上で転がすと、粉末がそれに沿って落ちてきます。粉が細かいため、生地の繊維の上に落ちるとしっかり印としてついてくれますが、ペンシルタイプや固形タイプのようにしっかり押しつけて描いていないので、こちらのほうが印はとれやすいです。
そのため、スピーディーに印がつけられて、しかも印を落としやすいのはこちらのパウダータイプということになります。
この三角形のチャコのすごいところは、粉が補充できるところ。
粉を買えば永久的にチャコが使えます。
こぼさないように、粉の補充はちょっと慣れる必要がありますね(笑)。
そもそも三角形である必要はあるのか…と思いますが、ちゃんとペンタイプの粉末チャコが存在します。
こちらも先端にローラーがついていて、三角チャコと同様にきれいな線が描けます。
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>④シャープペンシル
続いて、シャープペンシルタイプです。
印つけの発展の変遷としては、固形のチャコ → ペンシルタイプのチャコ → シャープペンシルタイプのチャコ、という流れになります。
シャープペンシルの良いところは、とにかく細い線が安定して描けるところです。
手芸といえば洋服やバッグという昭和の時代から、少しずつ社会が豊かになって余暇の時間が増えていき、今から40~50年くらい前に趣味としてパッチワークをする人が日本で爆発的に増えました。
パッチワークの多くは、手のひらサイズの小さな生地をつなぎあわせて作ります。この生地に印をつけるためには、固形のチャコでは線が太すぎるので、最初はペンシルタイプのチャコを皆さん使われていました。チャコペンシルは頻繁に削らないといけないし、すぐに太くなってしまうので、その当時は普通の鉛筆や色鉛筆を使っていた方も多いです。そんな中で安定的に細い線が描けるシャープペンシルタイプが登場して、これがパッチワーク愛好家たちの間で大ブレイクしました。
芯の色は黒・白・黄色・ピンク・水色・緑などありますが、シャープペンシル1本で芯を使い分けるのはとても手間なので、芯ごとにシャープペンシルを何本も購入して使う方が増えたことも大ヒットの要因ですね。
チャコペンシルや固形のチャコには黒色が存在しませんでしたが、シャープペンシルには黒色があります。ミニマムにそろえるなら黒と白またはピンクまたは黄色、という感じで、濃い色と淡い色を1本ずつあれば良くて、もっと欲しいとなったら買い足していく感じでよいと思います。
・
>⑤まとめ
生地に印をつける道具その1、いかがでしたか。
印つけの一部だけでこんなに種類があるなんて、手芸を始めると、あれもこれもと便利道具が増えていき、気づけばお裁縫箱の中がいっぱいに……というのもちょっとうなづけますね。
時代とともに「あったらいいな」というアイディアグッズが少しずつ増え、縫い物を楽しんでこられた人々と、それを支えてこられたメーカーさんたちの研鑽の世界がうかがえて面白いなと思います。
次回は、印つけ その2をご紹介しますね。
2024年10月21日 ユキンコ
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