• 手芸道具あれこれ

「手芸道具あれこれ」第4回は、《 針磨き 》です。

針・糸・糸通し、とこれまで説明してきました。今回は針をお手入れするための道具、「針磨き」のご紹介です。

No.４　手芸道具あれこれ　針磨き

①針磨きとは

こちらは私が持っている「針磨き」です。色々な形があります。

縫い針はそもそも消耗品なので、使っているうちに曲がったりサビたりします。その場合は新しい針に交換。曲がった針は直すことができませんが、サビのついた針は針磨きを使うことで、もう少しだけ針を長く使うことができるようになります。

湿気の多い日本では、針山に針を刺したまま長期間放置していると、生地と針の接着面がサビてしまうことがよくあります。これは主に針山が綿100％生地の時にによく起こるのですが、このサビがひどくなると針と生地が接着してしまい、針山から針が抜けなくなります。

こういうことにならないためには、針を桐箱に入れて保管したり、ウール100％の針山に刺すと良いと言われています。桐箱もウールも天然素材で湿気を吸ってくれるので、サビにくくなります。

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②針磨きの種類

こちらはクロバーさんの針磨き。中央のクッション部分に針を差し込み、出し入れして針の先端を磨きます。

針の軸の方を磨くときは、このように針を突き通して動かします。

こちらはマカロン型。

これはいちご型。マカロン、いちご型ともに、形が違うだけで使い方は同じです。

私の淡い記憶ですが、20～30年くらい前はいちご型の針磨きをよく目にしたように思います。調べてみましたが、最近はほとんど売られていないようなので、廃盤になったのかも知れません。

こちらは自作したキウイ型の針磨きです。針磨きの形は、アメリカではトマト型が、日本ではいちご型が多かったそうです。国や地域によってモチーフが違うのは面白いですね。

他に違う形をご存知の方がいたら教えて欲しいです（笑）。

最後は、サンドペーパーです。これは現在90代の方から教わった方法です。

シンプルに、折りたたんだサンドペーパーではさんで針を磨くそうで、昭和の裁縫箱にはよくあった光景だとか。磨き過ぎは却って針を傷めますが、ちょっとしたサビなどはこれでスッキリとれるそうです。

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③針磨きの中身

そもそも、針磨きの中には何が入っているのでしょうか。自分で針磨きを作りたいと考え、針磨きの中身の素材について調べていた時期がありました。

左：金剛石の粉　　　右：砂

まず左は、金剛石（こんごうせき）と言われる石の微細な粒です。金剛石は石の中でも最も硬いと言われています。その粒子は細かく際立っているため、中に針を通すとほどよくサビがとれるという仕組みです。

右は小さな粒子の砂。これも金剛石のように粒が際立っていて、中に針を通すとサビ落としができます。

こちらは植物の種と、ウッドチップです。どちらも海外に在住の友人からいただいたものです。何の植物の種なのかは友人もわからないということでしたが、種には油が含まれているので、針通りをなめらかにしてくれる効果もあるそうです。右のウッドチップは木を細かくチップ状にしたもので、海外の針山の中にはこういった種やウッドチップを入れることも一般的だそうです。

また、人間の髪の毛には潤い成分があることから、針山の中に人毛を入れる人もいます。古今東西の知恵ですね。

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④まとめ

縫い物を楽しむため、人の営みの中で生まれた針磨き。シンプルにサビを落とすためだけならサンドペーパーで十分ですが、いちごやトマト、マカロンなど、ユニークな形に発展した針磨きを見ていると、縫い物のある暮らしを楽しむ人の姿が見えてくるようで面白い ですね。

読者の皆さんも、お裁縫箱の中に針磨きを入れておきませんか？

2024年7月1日　ユキンコ

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