• ちいさな暮らしのおすそわけ

ちいさな暮らしのおすそわけ

No.６　手ぶらの５分ウォーキング

若い頃は一切気にしなかったことですが、40代に入ったあたりから物の重さにこだわるようになりました。財布の重さ、洋服の重さ、スマホの重さなどなど。理由は、外出の際のトータルの重さが年々気になってきたからです。

最初はバッグの中身を減らしたり軽いポーチにするなどしていましたが、一通りやりきった後は、バッグそのものの軽さが購入の判断材料に。「この金具もう少し軽いものだったらなぁ」「デザイン好きだけどこれは重たいな」といった具合です。

そうしてここ数年は、より軽いコート、より軽いバッグ、財布もミニサイズにしてもっと軽く…とどんどん軽量アイテムに移行してきたのですが、先日、朝のゴミ出しをして家に戻るときに「今が一番手ぶらで最高に軽い！」と今更のように気がつきました。

考えてみると、これまで何十年もの間、外出のときは常に何かを持っています。スマホ、財布、ハンカチ、ティッシュは最低限。そこにペンやノート、本、パスケース、水筒、ばんそうこうにリップクリーム…あれやこれやでそれなりの重さに。さらに、子どもと出かけるときは「もしも」のためのグッズが増えます。出先で困らないようにと装備したたくさんの物と引き換えに、肩にのせている重さといったらかなりのもの。帰宅後に荷物を降ろすと「あ～疲れた…」と言葉が口をついて出てしまいます。

しかし、朝のゴミ出しは一瞬の外出なのでスマホすら持たず、ポケットに家の鍵だけ。この最強の身軽さを味わうことなくすぐに家に戻るのはもったいないぞと、ゴミ出しの日の朝は２ブロックほど家のまわりを周ってから戻るようになりました。

これが自然いっぱいの美しい風景だったらさぞかし気分も良いでしょうが、特になんてこともない住宅街。それでも、小さなお寺の横を通ると毎回お香の匂いがしたり、通勤を急ぐ自転車が通り抜けていったりと、昼間のゆったり感とは違う朝ならではの躍動的な空気を味わえます。しかも自分は手ぶら。手をぐーにして、自分の体ひとつで歩きだすと、いつもは気づかない肩甲骨や太もものまわりの筋肉をしっかり使っているのを感じます。身軽さ、最高！

ぐるりと一周、わずか５分ほどのウォーキングなのですが、朝からいい気分。毎日慌ただしい朝ですが、ちょっとひとまわりするくらいの心の余裕をもって、手ぶらの朝を味わうのもよいものですね。

2024年1月29日　ユキンコ

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